韓国書籍紹介など

読書ノートなど。翻訳もこつこつ出版していきたい。

新刊紹介。李珍景『生のための哲学授業』

ものすごく久々に投稿しますが、エッセイ的な本で、おもしろい本が出たので、その紹介です。



李珍景『生のための哲学授業(삶을 위한 철학 수업)』、文学ドンネ、2013




少しだけ引用をします。



「まきこまれを通してわたしはようやくわたしを抜け出る。どうにもできなくなることなしに、決して抜け出る術を知れないこと、それがすなわち自我だ。愛と魅惑の受動性とは、この自我を抜け出させる「どうにもできなさ」なのだ。」(94頁)


「愛する者と出会ってから自らの生が変わったと言えないのであれば、それはまだ愛をし始めていないということだ。」(95頁)


「恋愛のゲームに勝つことは、自らの意思を貫徹させ、相手の心を掌握することであり、それを以て自らの世界を他人の心の中へ押し込めることだ。愛の主人になることだ。しかしそのためには、愛に狂ってはならないのだ。相手よりももっと愛してはならないのだ。なぜなら相手に魅惑されるとは、相手にまきこまれ、自らの主導権を失うことであるためだ。」 中略 「したがって「駆け引き」という恋愛ゲームで勝利すればするほど愛の心はだんだん薄っぺらくなるのだ。相手に対する主導権が大きくなればなるほど、愛の熱情は弱くなる。その終着点は、相手を全的に掌握するかわりに、相手の心が全的に消滅することだ。」(同書、96-97頁)


とりあえず、簡略なメモだけノートしておきます。